絶対の愛レビュー
絶対の愛は、さすがHappinet(SB)(D)は違うなといったそんな印象です。
久々に第一印象で買ってしまいました^^;
本当に引退しちゃうの?
本作が13作目となるキム・キドク氏は,作品公開前に「韓国映画からの引退」を宣言したらしいんですけど本当でしょうか。韓国ではやらずに,ハリウッドや日本でやるということでしょうかね。
キム・キドク監督は1996年「鰐」でデビュー以来,一貫して「低予算かつ短時間」というポリシーで制作活動を続け,独特の表現で視聴者たちを魅了して来ました。「制作費何十億」とか,「構想十年,三年の歳月を費やして」などといった宣伝文句は彼の作品には無用で,「作品は想像力がすべて」とばかりに,ぐいぐいハートに迫ってくるのが彼の作品の真骨頂です。ただ,あまりにもどぎつい描写に「彼の作品はどうしても好きになれない」と言う人もいますけどね。
さて,本作の背景にあるのは,世界有数の整形大国といわれる韓国の整形事情なのですが,何と言っても,新しい顔になって愛を全うしようとする美しきヒロイン,スェヒを演じたソン・ヒョナの演技が光ります。しなやかな肢体は夢のように美しく,汚れたマスカラも涙とともに流れる鼻水さえも美しい。愛を求める女の喜び,不安,哀しみを見事に体現し,各国の映画祭や韓国映画界で高い評価を受けました。
相手役のジウを演じたのは,「許されざるもの」で数々の新人男優賞に輝いたハ・ジョンウ。
整形前のセヒを演じたのはパク・チヨンです。
おまけ:整形前のセヒと整形後のスェヒ,似ている名前で日本人が聞くとほとんど同じ音に聞こえるかもしれませんが,韓国には日本と違って合成母音と言う母音があり,それを使った言葉の洒落だと考えてください。
Time
恋人に飽きられることを恐れて、女は美容整形で別人に変身し、名前まで少し変えて別人になる。セヒは彼の気持ちを操り、セックスもする。声帯や体そのものは整形していないので、声を聞けばすぐに分かるだろうし、セックスすれば見覚えのある体となるはずだけど、そのあたりは、突っ込んじゃいけませんね。
彼女はある種の充足感のなか、思い通りになった→→幸せ→→でも悲しいという自己矛盾に陥る。そして後半は、女に翻弄された男も美容整形して顔も名前も変えてしまう。なんたる意趣返し。逆襲という展開も面白い。
原題の「Time」に込められたのは、循環性のあるパラドックスだ。劇中、ヒロインが言う。「時間が怖かった。時間はすべてを変える」。“絶対の愛”を求め過ぎた男女は、互いに愛を見失ってしまう...。冒頭の場面とラストが同じで、その二人は○○○○だったという寓話として終わります。
セックスをモチーフにした彫刻や女の顔写真の仮面など、シンボリックな“記号”を随所に配した、いつもながらのギドク監督の演出の小気味よさも感心するばかり。その、ふたりの思い出の場所である、愛の彫像がある海辺の「彫刻公園」も印象的でした。もし、韓国に行く機会があれば是非行ってみたいです。
Happinet(SB)(D)にしては、¥ 2,953と値段もお手ごろですので、お勧めです。
絶対の愛
ソン・ヒョナ.ハ・ジョンウ.パク・チヨン

定価: ¥ 3,990
販売価格: ¥ 2,953
人気ランキング: 827位
おすすめ度: 
発売日: 2007-11-22
発売元: Happinet(SB)(D)
発送可能時期: 近日発売 予約可
キム・ギドクの描く愛に、論理的な説明はいらない。愛することがどれだけ狂おしくても、人は誰かを愛してしまう。毎回、彼はそんな愛を突き詰めてきたが、この作品も例外ではない。恋人にルックスが飽きられたと勝手に思い込んだヒロインが、整形手術でまったく違う顔に変身。恋人は、新たな姿で現れた彼女を別人だと思い込み、恋におちてしまう。基本ストーリーだけでも衝撃的だが、後半は、さらに予想外の展開になだれ込む。
整形の傷が癒えるまで、サングラスとマスクを付けたまま街をうろつくヒロインは不気味だが、整形が当たり前という韓国では、その姿も比較的自然に受け入れられているようだ。整形後のヒロインを演じるソン・ヒョナも、自ら整形した過去を告白している。もちろん、この映画には、外見にこだわり過ぎる風潮へのアンチテーゼが脈々と流れているのだが、そのテーマ以上に心をわしづかみにするのは、ギドク監督のストーリーテリングの才能だ。主人公ふたりの異常ともいえる行動を、限りなく真摯に描きつつ、メビウスの輪のように最初に戻るラストシーンで、観ているわれわれは、ひたすら息をのむばかりなのである。(斉藤博昭)


